

外資系電機メーカーに勤務していたとき、何か新しいことにチャレンジしてみたくなり、海外勤務を志願しました。ところが、会社側の事情でわずか半年で国内勤務に戻らざるをえない状況に。そのとき、仕事として長く続けられる専門的なスキルを身につけたいと強く思い、頭に浮かんだのが通訳でした。サイマル・アカデミーの通訳者養成コースで勉強を始めてすぐ、英語を話すことと、聞いたことを理解して通訳することとは別物であることに気づきました。帰国子女の私にはそれがショックで、まずリテンションやサマリーを繰りかえし練習。そうして基礎が固まった頃、先生から英訳するときのテンポや抑揚にも気を配るようアドバイスされました。その練習にと勧められたのが、ヒラリー・クリントンのオーディオブックを使ったシャドーイングです。メッセージが伝わるデリバリーを体得しようと、仕事からの帰り道、歩きながらシャドーイングしたこともありました。



通訳学習が1年を過ぎた頃、サイマル・ビジネスコミュニケーションズの紹介で秘書兼通訳という派遣の仕事を始めました。授業を通じて、対象分野の知識量がパフォーマンスの質を大きく左右することを実感していましたが、社内通訳では急遽、通訳を命じられることもあります。事前準備ができていなくても、日頃の業務で蓄積した知識を頼りに何とか対処できたのは、「話の枝葉ではなく幹を捉える」という基本をサイマルで徹底的に鍛えていたおかげです。現在は別会社に移って通訳専業として働いていますが、初めて通訳したとき、先輩の通訳者から「基本ができている」という嬉しい言葉をかけてもらいました。現場で通訳してみると、授業で学んだことすべてが役立っていると実感できます。仕事をしながら、今も同時通訳科に在籍して訓練を続けています。扱うテーマがより専門的になってきているので、背景知識をどれだけ深められるかが目下の課題です。同時通訳の草分けである小松達也先生のご指導のもと、レベルの高いクラスメートに刺激をもらいながら、これまで以上に信頼してもらえる通訳ができるよう、スキルに磨きをかけていきたいですね。



最初の会社では、外国人上司のスピーチを通訳する機会がありましたが、授業でスピーチ演習をしていたおかげで落ち着いて通訳できました。現在の職場ではウィスパリングも行なっています。同時通訳科で勉強を始める前に、仕事で始めてウィスパリングをしたときのことですが、メッセージの根幹を見失うことなく、話についていきながら訳出できました。授業で演習を重ねた逐次通訳のスキルを応用できたのだと思います。 |