受講生・修了生の声修了生メッセージ

サイマル・アカデミーに入学したきっかけ

英語の運用は業務で続けていたものの、翻訳としてしっかり訓練を受けた経験は学生時代以来ありませんでした。英語と日本語の間を往復しながら、実務に近い内容で訳出力を高めたいと考え、産業翻訳コースの日英を受講しました。

サイマルは通訳・翻訳教育の分野で長い歴史と実績をもつという信頼感があり、安心して学べる環境だと感じていました。また個人的なご縁として、1986年に当時の校長・村松増美先生から、知人を通じて著書にサインをいただいたことがありました。"Best wishes for a happy and productive future with English."という一言が添えられていて、その記憶が今回の再挑戦を後押ししてくれたように思います。

思い出に残っている講師の言葉

自分の訳文を講師に見ていただくのは久しぶりだったので、最初は緊張しましたが、的確なコメントを通じて自分の癖や改善点を知ることができました。
日英翻訳だとどうしても私のような日本語ネイティブには不利だと思うのですが、「日本語ネイティブだからこそ、原文の正しい理解ができる点は強みになるはずだ」と言っていただけたのは大きな励みになりました。

受講時に行っていた勉強

課題がとにかく面白かったので、授業後はすぐにPCに向かって翻訳をしていました。課題の一次訳を作るのに2時間くらいはかけていたと思います。授業は土曜日だったので、土曜日のうちに一次訳を作って、翌日曜日に見直しをするというパターンで臨んでいました。

ただ、翻訳というアウトプットばかりでは、自分の中のリソースが薄くなるような気がしたので、サマリーの課題を含め、英文を読む時間をとるようにしていました。この時間を捻出するのがチャレンジでした。

クラスメイトから受けた刺激

他の受講生の訳には、自分では思いもつかなかったような表現が含まれていて、とても刺激になりました。受講生から複数の訳が上がったときの、講師の選択やその理由付けなどから学べることは、大変に多かったです。

翻訳者登録について

プロ科修了後、講師推薦をいただきサイマル・インターナショナルへ翻訳者登録をしました。

これまで、公共分野や教育関連の文書を中心に、社会制度や法的な背景を踏まえる必要がある案件を数多く扱ってきました。表面的な翻訳ではなく、原文の意図や論理構造を丁寧に読み解きながら、「思考の再構成」として言語間の橋渡しを行うことを心がけています。

仕事のスケジューリング

本業があるので、翻訳業務に充てられるのは平日の夜と週末に限られます。平日夜は2~3時間程度、土日は、6~7時間程度です。それでも様々な用事が入ることもあり、スケジューリングには苦労します。
お仕事のご依頼をいただく際には、本業にも翻訳業務にも支障が生じないよう、スケジューリングには細心の注意を払っています。

これから翻訳者をめざす方へ

翻訳という仕事をめぐる環境は、この数年で大きく変化しています。生成AIを含むツールの進化によって、文章を「別の言語に変換する」こと自体は、以前よりもはるかに容易になりました。しかし同時に、AIに任せきれない仕事も、確かに存在します。
たとえば原文の背後にある意図や、制度・文脈・立場への配慮。誰が何のために書いた文かを読み取り、それを誤解なく、過不足なく伝える――そういった翻訳には、いまも人間の判断と責任が求められています。

翻訳は、目立たず静かな仕事です。でも、「読む力」「考える力」「問い直す力」を深めてくれる知的な営みでもあります。言葉の裏にある構造や背景に興味を持ち、それを丁寧に解きほぐして別の形にしていくことに魅力を感じる方にとっては、翻訳は意味・意義のある仕事になるような気がしています。

村井さんの受講クラス

産業翻訳 日英プロ科