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働き方から見る「産業翻訳者の収入」

社内翻訳者の収入

厚生労働省の職業情報提供サイトによると、翻訳者として働く人の3割程度は正社員など正規の職員・従業員として就業しています。所属先の規模や規定により金額は異なるものの、固定給が支給されるため、安定度の高い働き方です。

社内翻訳者

専門性に特化してスキルを高めるために、パートタイマー、派遣社員、契約社員といった有期雇用を選択している方も3割程度います。
給与は、担当する仕事の内容によって時給ベースで支払われることが多く、社内向け文書の翻訳、または翻訳チェックに限ったポジションの場合、時給2,000円~が平均的です。

翻訳だけでなく、通訳も求められるようなポジションでは、時給4,000円~と高額の時給が設定されることもあり、その場合の年収は、750万円を超えます。

フリーランスの収入

社内翻訳者を続けながら、という方を含めると、翻訳者の約8割はフリーランスで活動しています。大半のフリーランス翻訳者は、仕事の紹介を受けるために翻訳会社に登録し、単価(レート)に基づいて算出される翻訳料を受け取っています。

単価は、原文の文字数/ワード数を基準にする翻訳会社が多く、例えば英文和訳のレートは、原文1ワードあたり8円~10円程度と言われています。しかし実際には、上限・下限ともに単価の幅はもっと大きく、翻訳会社が個々の翻訳者の実力と経験を基に、試訳と呼ばれるトライアルの結果を加味して翻訳者に提示し、相談の上決めるケースが多いようです。

フリーランスの収入

フリーランスでは、単価を上げることが収入アップにつながりますが、レートアップは一朝一夕にはかないません。また、5円、10円と一足飛びに単価が上がることはまずありませんので、質の高い翻訳物をコンスタントに納品して、翻訳会社からの信頼を得ていくことが重要です。

収入アップをめざすには

元々得意としている分野だけでなく、安定的に需要のある分野や新たにニーズが高まりそうな分野の専門知識を身につけるなど、対応範囲を広げて受注量を増やすことも収入アップ方法の一つです。

翻訳は、ターゲット言語(訳出する言語)のネイティブが翻訳するのが基本ですが、日英に関しては国内の需要が高いことから、日本人が英訳することも多くあります。そのため英日だけでなく、日英翻訳にも対応することができればさらに仕事を請ける機会も増えていくことでしょう。

また最近では、SNS等での営業活動に力を入れて、翻訳会社を通さず、直接クライアントから仕事を請けることで収入アップをめざすフリーランス翻訳者も増えてきました。

直接取引する最大のメリットは、翻訳会社を介す場合に差し引かれる手数料や経費分もすべて翻訳者に支払われることです。いっぽうで、受注や納品時のクライアントとのやり取り、経理処理、新たな営業活動等に時間を取られるため、本業の翻訳に集中できなくなるデメリットもあります。

翻訳会社を通すか直接取引するかの二者択一ではなく、半々または6:4など、どちらも取り入れて、バランスをとることを検討してみてはいかがでしょうか。