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訳者メッセージ

北野寿美枝先生

本筋のミステリ部分と父子のドラマもお楽しみください

本作はウォール街の証券業界を舞台にした金融サスペンスなので、ミステリの要素はもちろん、金融事件がらみです。ですが、この作品のもうひとつの読みどころは、父子のドラマだと言えるでしょう。

主人公のジェイスン・スタフォードは、ある理由で離れて暮らしていた息子のジェイスン・ジュニア(通称キッド)と2年ぶりに生活をともにしはじめます。その歳月の空白を埋めるように探り探りだった関係が、時間の経過とともに少しずつ深まっていくのです。もうひとつ、登場場面は少ないながら、ジェイスンの父親が息子であるジェイスンに注ぐまなざしがとても温かいのです。父子のあいだに信頼と愛情が育まれてきたことが伝わってくるはず!ふだんはシニカルなジェイスンも、この父には安心して弱みを見せることができるんですね。

本筋であるミステリ部分も楽しんでいただいたうえで、ジェイスンを中心としたふたつの父子関係にも、ぜひご注目を。

北野寿美枝先生

プロフィール

翻訳家。サイマル・アカデミー卒業後、講師を務めるかたわら、ミステリを中心に出版翻訳を手がけている。訳書に「イノベーター」、「カッティング・ルーム」、「わたしのウェールズ、わたしの家」、「サンセット・ヒート」などがある。